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2009年4月 4日

実物を見ること

しばらく経ってしまったが、先日ある建築見学ツアーに参加してきた。非常に有意義な体験だったので、メモ程度だが、記しておこう。

テーマはコンクリート。ほぼ年代順に都内の建築を巡る旅である。移動手段は、はとバス。東京駅に集合し、まずは伊東忠太「築地本願寺」(1934)から。

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講師、倉方さんの熱い解説。久々に訪れる築地本願寺。

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世界の宗教をめざし、人々に開かれた場所でありたいとのことで、内部も撮影OK。ありがたい。

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設計者と職人の技の競演の成果が、後世のわれわれに見られることを、ここで静かに待っていた、という感じ。

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次は京橋の一角へ。このごろ週3程度、毎朝銀座から三越前までを歩く私にとっては親しみあるエリア。もちろんこの村野藤吾「京橋三丁目ビル」(1978)はずっと気になる存在。あらためて見れば見るほど異様なディテール。見ることにおいて、わかりやすい「奥行き」を持っている。しかし現在はテナントなし。近々取り壊される可能性大とのこと。

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並びにあるのが、前川國男「(旧)蛇の目ミシンビル」(1965)。部材の工業化、それゆえの部材1ピースの造形へのこだわり、コスト感。構造的明快性。時代を経てこそ論じられる建築の価値というものがあること、などを解説いただく。

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皇居前のレストランで昼食。講師の倉方さんとお話させていただく。後から、もっと話すべきことあったかもと、初対面に弱い自分に少々へこむ。

午後は、一路目白へ。外壁とトップライトの全面改修が済んだばかり、丹下健三「東京カテドラル聖マリア大聖堂」(1964)へ。外部は良い意味でピカピカ。気持ちいい。一方内部は、正直言って、まことに残念ながら、内部の印象は以前とそれほど変わらなかった。予想より光の落とし方がぼんやりとなるように処理してあったためと思う。

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そしてこの日一番の期待。吉阪隆正+U研究室「大学セミナーハウス」(1965〜)へ。バスで敷地に近づいて行くと、こんもりとした山が見え、そのてっぺんにあの「楔」が刺さっているのがみえた。あのビジュアルショック。あのシルエットを写真に撮れなかったのが残念。

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かつては7群まであった宿舎も、1群と2群の一部しか残っていない。建築の命を縮めるのは簡単。メンテナンスをやめればいい、と倉方さん。

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敷地のなかを迷路のように回遊しながら、ふと目印のように「楔」がある。「楔」は目的毎に必要な面積を積み重ねた形(狭くて良い事務室は1階に、広くてしかも眺望も必要な食堂は最上階に)であり、建物自体が雨宿りの軒であり、敷地内では目印であるという多義性。その解決が気持ちよくはまっている。

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衝撃をうけたあとでボーッとしたまま、最後は、伊東豊雄「多摩美術大学図書館」(2007)。これまで見たものとは全く異質な、平滑で現代的なコンクリート。あ、そういえばこのツアー、コンクリートがテーマだったよな、とあらためて思い出した。

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2階にはほぼ全面カーテンが。透明性はかろうじてこのあたりに残っていた(ガラスに微妙に自分が映ってる...)

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あらためて、建物の実物をみて、入って、触る体験は、良い。あとで写真をみながらそのときの空気感を思い出すのも良い。

集団で見学するという形式も、案外いいものだなと思った。実は参加するまで否定的だったんだけど。いざ参加してみると、周りの人がどんな部分に注目しているか、人の動きや写真のとりかたで観察できるし、話していることも聞ける。また先生から解説してもらうというのも、ある程度を知るためには効率がいいなと思った。

でも最終的にそれを自分のものにするためには、これで知った気にならず、もう一度、自分一人で見にいくべきだろう。(学生時代の関西建築ツアーの最後に安藤忠雄氏から「建築見学は1人じゃないとダメ。みんなこのあともう一回一人で見に行け」と言われたことを思い出しながら....)

いずれにしても、久しぶりに、どっぷりと建築体験に時間を使うことができて、心を洗われる感じがした。貴重な機会に感謝します。

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プロフィール|TANAKA, Yoshiki

株式会社OPQ代表。主にWeb制作の企画進行をしています。

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